齊藤研究室

近年のナノテクノロジーの進歩により,磁気センサー等に用いられる磁性部品や,磁気記録装置等の磁気デバイスの性能がナノサイズの磁性体を利用することで飛躍的に向上しています。 磁性部品や磁気デバイスのさらなる性能アップには,その磁気的な性質をナノメートルサイズで評価・解析し,研究開発の場にフィードバックすることがとても重要になります。 そこで私たちの研究室では,走査型プローブ顕微鏡の一種である磁気力顕微鏡をベースとしたナノスケール磁気計測システムを開発し,同時に先端磁気デバイスに関して産業界等のニーズに応える微視的な評価法を提案しています。

観察試料から漏れる磁場を,磁場センサーとして先端が尖った針に磁性体を被覆した磁性体探針を用いて,観察試料の上を走査して磁気力を検出することで画像化する走査型プローブ顕微鏡の総称

ナノスケール磁気計測システムの開発

磁気力顕微鏡の分野で,独自技術により世界で初めて試料表面近くでの磁場の検出に成功し,空間分解能を世界最高の5nm以下まで飛躍的に向上させた交番磁気力顕微鏡を開発しました。 現在,さらなる空間分解能や機能性の向上に取り組んでいます。 ここでは,計測法の開発に加えて,磁場センサーの高性能化や数理工学的なアプローチによる顕微鏡信号の解析法も検討しています。

Fig.1
開発したナノスケール磁気計測システムの外観と動作原理図
(国立研究開発法人・科学技術振興機構の支援による)

先端磁気デバイス評価への応用

高密度磁気記録装置の主要部品として用いられている磁気記録ヘッドや磁気記録メディア,電気自動車用の高性能モーター等に用いられる高性能磁石等について,その性能に大きな影響を及ぼす微細な磁気的構造の観察・解析を行っています。

Fig.2
磁気記録ヘッドの磁場像
Fig.3
高密度磁気記録メディアの磁場像