テラヘルツ波を用いたポリマー構造の識別に関する研究

 テラヘルツ帯の振動エネルギーは分子間力や格子振動に対応し多くの指紋スペクトルが存在します.テラヘルツ帯で繊維の分光分析を行い,スペクトルの違いから,繊維を識別する手法の研究を行っています.

 

 セルロース系繊維に関するテラヘルツ帯でのスペクトルは,セルロース結晶の構造の違いを反映しています.

 衣類などに使用されるセルロース繊維は植物由来の繊維ではセルロースT型,工業的に合成された繊維ではセルロースU型という結晶型を持ちます[Fig.1]

 これらの繊維は従来の分析手法では識別が困難でしたが,テラヘルツスペクトルでは違いが検出できます[Fig.2]

 この研究は獣毛繊維や合成繊維の識別にも適用できることを実験で確認しており,不当表示が社会問題となっている繊維種に関する新たな識別方法として利用できます.